『法華コモンズ仏教学林』

日時: 2021年 10月19日 pm 6時30分 より
場所: 祖師堂 会議室

 連続講座 歴史から考える日本仏教 ⑧ 

裏から読む鎌倉時代―日蓮遺文紙背文書の世界― 

講師: 菊地 大樹 先生 

【講義概要】 

この講座は、歴史学の立場から日本仏教のさまざまな側面を継続的に考えてゆくことを目指します。これは言い換えれば、教理文献に残された思想を、それが著された時代の文脈の中で立体的にとらえなおす営みに他なりません。しかもひとつの時代は系譜となって、前後に長く連なってもいます。そこで日蓮の生きた鎌倉時代をつねにどこかで射程に入れつつも、ときには原始古代にまでさかのぼり、また私たちの生きる近現代にも立ち戻って進んでいきたいと思います。 

2021年度後期は、参加者とともに「日蓮遺文紙背文書」を読んでみたいと思います。紙が貴重だった時代、最初の役割を終えて反故となった手紙や事務書類などは、棄ててしまわずにその紙の裏側を日記や典籍の書写などに再利用しました。このようにして、偶然生き残った文書を「紙背文書」といいます。日蓮聖人の下総国における最大の外護者・富木常忍は、守護千葉氏のもとに事務官僚として仕えていましたが、手元に溜まった大量の反故紙を日蓮聖人に提供しました。それを利用して書かれた「天台肝要文」「破禅宗」「双紙要文」などのノート類は、いまも国指定重要文化財として中山法華経寺聖教殿に伝来しています。これらの聖教紙背文書からは、日蓮聖人の生きた時代の社会の息吹が生き生きと感じられます。 

近年の研究に学びながら、「日蓮遺文紙背文書」から毎回テーマを選び、古文書の写真を見ながら活字テキストを読解しつつ、解説していきたいと思います。テキストは基本的に『千葉県の歴史』資料編・中世2を利用し、事務局にてご用意いたします。 

【講師略歴】 

菊地大樹(きくちひろき): 東京大学大学院修士課程修了。博士(文学)。現在、東京大学史料編纂所教授。著書に『鎌倉仏教への道』(講談社、2011年)、『日本人と山の宗教』(講談社、2020年)他。論文に「再考:持経者から日蓮へ」(『花野充道博士古稀記念論集』山喜房仏書林、2020年)、「円爾系の印信から見る禅と密」(末木文美士他編『中世禅の知』、臨川書店、2021年)他。 

【受講料】1期分 10,000円(全5回の講義) ※当日1回の受講料は3,000円

【講義日】 全5回、時間(原則・第3火曜日):午後6時30分~8時30分 

第1講 10月19日(火) 日蓮遺文紙背文書とはなんだろう 

第2講 11月16日(火) 日蓮と富木氏・八幡荘 

第3講 12月21日(火) 千葉氏の活動と京・鎌倉・鎮西 

第4講 1月18日(火) 日蓮をとりまく金融経済の世界 

第5講 2月15日(火) 日蓮をとりまく百姓の世界 

※対面講義が不可の場合は、オンライン講義に切替えて同じ日時にて開催する予定

※ 詳細は、https://hokke-commons.jp (ブログ)を御覧ください。 

※聴講希望、お問い合わせは、 

  hokkecommons@gmail.com  まで。

開催予定