謹賀新年

発行日: 2021年 01月01日
季報: 冬 第100号 掲載

住職 及川玄一 

 あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。コロナ禍にあって世上よろしからず、ご苦労が多いことと拝察しお見舞い申し上げます。

 この「季報」が創刊第一〇〇号です。年四回の発行で二五年が経ちました。創刊と、私がアメリカから帰国しこの寺に務めるようになった時期が重なっております。

 八年間のアメリカ暮らしで、はじめにお世話になったサンノゼ妙覚寺別院では毎月「たちばな」という会報を発行していました。その後五年間、開教師として住職をしたシアトルの寺ではやはり「光明」という月報を出していました。会報・月報の発行で、檀家さんに行事のお知らせや境内の掃除・芝刈りなどの当番割りを知らせることが住職の職務のひとつでした。

 毎月の発行はなかなか忙しく、また日英両語での紙面づくりもそれに輪をかけました。しかし今となっては、その日々に文章の書き方が身についた、と振り返っています。

 この「季報」創刊当時、檀家さんのお住まいは寺の近隣から次第に郊外、他県へと広がっていく傾向にありました。また、核家族化が進むに従い、仏事や寺との付き合い方が分からないとおっしゃられる方が増えていました。物理的にも精神的にも檀家さんと寺との距離が離れる方向にありました。そんな状況を変えたいと「季報」の発行が始まったのです。

 「継続は力なり」と自己満足したいところではありますが、果たして皆様方のお役に立っておりますことか。寺の行事は基本的には毎年同じことの繰り返しですから、ついマンネリになりがちです。少しでも新鮮なものになるよう、執事の池浦上人と知恵を出し合っているところです。

 以前、ある檀家さんとの雑談で「毎号同じような内容になってしまって…」と話をしたところ「いつもの事がいつも通りに行われているのは結構なこと」と教えてくださいました。コロナ禍の今、改めてその言葉をかみしめ、寺が元気に活動できていることに感謝しております。今後とも宜しくお願いいたします。

人気の季報

2018年 07月01日 発行
夏 第90号
住職就任のご挨拶
住職 及川玄一  常圓寺第四十世としてこの四月から法務を執らせていただいております。先般書状を差し上げましたが、ここに改めてご挨拶させていただきます。 京都大本山妙顕寺の三田村貫首さま ...
2019年 07月01日 発行
夏 第94号
蓮の台(はすのうてな)
住職 及川玄一  住職に就任して一年、檀信徒の皆さまのおかげをもちまして、何とか無事に務めることができました。去年の今頃は、法燈継承式の準備で慌ただしく過ごしておりました。少し落ち着い ...
2020年 07月01日 発行
夏 第98号
世は「妙」なもの
住職 及川玄一  作家の井上ひさしさんが亡くなって十年になる。劇作家としても活躍され、若い頃は浅草の劇場で台本を書いていたこともあったそうですが、戯号(筆名)に用い、法号(戒名)に残る ...
2021年 01月01日 発行
冬 第100号
謹賀新年
住職 及川玄一   あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。コロナ禍にあって世上よろしからず、ご苦労が多いことと拝察しお見舞い申し上げます。  この「季報」が創 ...
2021年 03月01日 発行
春 第101号
時が人を作る
住職 及川玄一  二月九日、いちばん大きな荘厳仏具である天蓋が修繕を終えて本堂に戻されました。大工事であった東・北区画墓地の塀の架替えも同じ日に終了しました。宗祖のご降誕八〇〇年慶讃事 ...
2022年 03月10日 発行
春 第105号
仏々現前
住職 及川玄一  「誰でも仏になれる」と聞いて、どう思いますか。人の心には鬼に見えても、仏を見ることは稀でしょう。死ねばみな仏になるということか、と受け取る人がいるかもしれません。素直 ...
2019年 09月01日 発行
秋 第95号
人の心と犬の心
住職 及川玄一  最近、私が聞いたことです。「十三年間ともに暮らした愛犬が旅立った。今は、寄り添ってもらっていたと感じる。味があり楽しかった日々を忘れない」。―――「飼っていた〝子〟」 ...
2020年 01月01日 発行
冬 第96号
季節のめぐりと食
住職 及川玄一  明けましておめでとうございます。  年賀状には、年頭にあたり「初春」「迎春」の文字を使います。厳冬期になぜ「春」なのか。  日蓮聖人のお言葉「妙一尼御前御消息」に「冬 ...
2020年 09月01日 発行
秋 第99号
往時を憶う
住職 及川玄一  春のお彼岸前から心が晴れることの少ない日が続いています。見えないものと対峙する困難を痛感しますが、今はただ禍の先の光明を見出すべく努めております。幸いにも、お寺に働く ...
2020年 03月01日 発行
春 第97号
「長寿札」
住職 及川玄一  立春を過ぎたとはいえ、まだまだ寒い日が続いていますが、境内の梅が一輪、二輪とほころびました。いつしか開花の準備が整っていたようです。  お寺では数年前から節分会にあわ ...