「寿」「龍」の掛け軸

発行日: 2022年 02月14日
成子新聞: 第15号 掲載

令和4年1月20日 法華感話会新年会 法話

本堂にかけられた「寿」「龍」の掛け軸

住職 及川玄一

堂内に掲げられた二幅の掛軸、「寿」と「龍」。「寿」はお正月によく目にする字ですから、おめでたい字と誰でも思いますが、「龍」という時を見ておめでたいと連想できる方はそういらっしゃらないのではないでしょうか。

古代中国の伝説の生き物である龍は、仏教の世界でも非常に珍重されていて、名前に「龍」の字が入っているお寺がたくさんあるように仏教にゆかりの深い字です。

龍は古来から天にあって雨を降らし、水を支配管理する神として信仰されてきました。雨は冷えると雪にも変わりますし、あまり有難がられるものではありませんが、一方で、とても大切なものです。「寿」には「命」という意味もありますが、命は食物によって支えられています。皆さんに召し上がっていただくお弁当に入っている椎茸、人参、筍などの作物は皆、雨が降らないことには育ちません。つまり雨が我々の命を養ってくれていることになるわけです。

そもそも我々の体はほとんど水でできているといわれますので、これも雨がないことにはどうにもなりません。それほど雨は大事、大切なものといえます。ですから「龍」は大切な命を表す字と理解されるわけです。「寿」も命、「龍」も命です。

今年の皆さんの命、日々の生活が、煩い事なく安穏であることを願い今日はお祈りさせていただきました。今年もコロナ禍でのスタートになりましたが、これ以上感染状況がひどくならないかぎり二月の感話会も行うつもりです。

十二月の感話会でお話させていただきましたように、月に一回、お寺に参ることは亡き方々への尊い孝行です。それぞれ健康管理には十分ご留意いただいて、来月も元気にお参りいただけましたらありがたく思います。

今年一年もよろしくお願い申し上げます。

人気の成子新聞

2019年 08月10日 発行
第2号
「いのち」はなぜ尊いのか
「いのち」はなぜ尊いのか 住職 及川玄一  本格的な夏がやってきました。  「毎月の月はじめに発行!」と決めてスタートしましたが、創刊号からつまずいてしまいました。  また、『成子新聞 ...
2020年 02月10日 発行
第8号
継続こそ力なり
今月の聖語受る(うくる)はやすく 持つ(たもつ)はかたし日蓮聖人御遺文「四条金吾殿御返事」 日蓮宗 継続こそ力なり 住職 及川玄一  「一念発起」という言葉があります。意を決して1つの ...
2022年 01月14日 発行
第14号
四恩への報謝
令和3年12月20日 法華感話会 法話 四恩への報謝 住職 及川玄一  いつしか暦も十二月でございます。時の流れの速さを感じている方も多いことと思いますが、概ね順調に十二枚のカレンダー ...
2020年 12月10日 発行
第10号
できるだけ平らに、そしてマイナスをプラスに
令和2年11月20日 法華感話会 法話 できるだけ平らに、そしてマイナスをプラスに 住職 及川玄一  今日、若い僧侶がつけている緑色の袈裟は、手芸会の皆さまがこれまでバザーを開いて積み ...
2019年 11月10日 発行
第5号
令和元年十月 お会式法話
令和元年10月8日 お会式 法話 常圓寺日蓮仏教研究所主任 都守基一上人 日蓮仏教研究所の活動  「日蓮仏教研究所」といいましてもお檀家の皆様にはあまり馴染みがないかもしれません。 常 ...
2021年 01月10日 発行
第11号
「とき」
令和2年12月20日 法華感話会 法話 「とき」  住職 及川玄一  お寒いなかお集まりいただきましてありがとうございます。今日は暮れの釜〆のお経に伺っている僧侶もおりまして、普段は私 ...
2020年 04月10日 発行
第9号
佛々現前 仏心の前に仏現る
令和2年2月20日 法華感話会 法話 佛々現前(ぶつぶつげんぜん)仏心の前に仏現る 住職 及川玄一  二月四日の立春から早二週間、気が付けば梅の花が咲いています。  「冬来たりなば春遠 ...
2021年 05月14日 発行
第12号
「仏さまの眼で見ると…」
令和3年4月20日 法華感話会 法話 「仏さまの眼で見ると…」 住職 及川玄一  お参りくださいましてありがとうございます。お寺の新聞で〝緊急事態宣言が発令されていなければ感話会を開き ...
2020年 01月10日 発行
第7号
贈り物〜人を思う心〜
令和元年12月20日 法華感話会 法話 贈り物〜人を思う心〜 住職 及川玄一  師走恒例の今年の世相を表す漢字が先日発表され、令和の「令」に決まりました。確かにこの一年を振り返ってみま ...
2019年 10月10日 発行
第4号
令和元年九月 法華感話会法話
令和元年9月20日 法華感話会 法話 住職 及川玄一  先日、山口県に住むお檀家さんから訃報が入りました。亡くなられた方は東京の方ですが、故人の奥様のお母さんが山口県で一人住まいをして ...